プロジェクトJAPANプロローグ・戦争と平和の150年 雑感

NHKの戦争と平和の150年を見ました。
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簡単に概要を説明すると


明治維新、日本が世界にデビューしたら帝国主義でやばい雰囲気だった」
「日本が急速に富国強兵するその一方で世界は平和構築の試みも始めていた」
「武力による平和ではなく法による平和が望ましい」
憲法9条ってすばらしいんだよ。世界に広めよう」


という流れ。さすがNHKだけあって初めのほうは見ごたえがありました。恥ずかしながらこれを見るまでは国際連盟が作られる前に「ハーグ平和会議」なんて国際会議が開かれていたなんて知らなかったですし、国際司法裁判所の裁判官に安達峰一郎という日本人が選ばれていたことも知りませんでした。これはちょっと同じ日本人として誇らしいですね。世界大戦への緊張が高まる中、世界平和への糸口を探る安達。国家の思惑と個人の感情の板ばさみにあう安達には正直惚れました。そして志半ばで死んだ安達。そこまでは興味深く見れたのですが「憲法9条」がでてきたあたりでちょっとうさんくさくなってきました。イラク人の青年に沖縄を見てもらい「世界中の人々に憲法9条の精神を知ってもらえば戦争はなくなるのでは」と問いかけるわけですがこの結びは少し安易すぎます。だって「世界中の人々が仏教の精神を学べば世界は平和になる」って言ってるのと変わらないもの。


諸々の紛争を解決するためのヒントは番組内に散りばめられていたわけですが(例えば 発展途上国における教育の普及・貧困を無くす・小国は軍事費を増やす・大国は軍事費を減らすなど)NHKが最終的に平和への手段として出した答えは「憲法9条マンセー」「人権マンセー」だったのでゲンナリしました。そのくせやたら韓国人の平和活動家がでてくるあたりも意味不明。北朝鮮と休戦中とはいえ現在も絶賛徴兵制で軍備固めてる国に「戦争の痛みを知るべきですニダ」とか説教されてワケワカメ。人権と憲法9条で平和になるなら韓国軍はさっさと武装解除して北朝鮮と仲良くすりゃいいのに。このあたりで「あぁ、この番組って古い左翼思想家が作ってるんだなぁ」とひどくガックリ。


3年にも及ぶプロジェクト番組なんですから、もうちょっと具体的に平和へのアプローチを考えてる学者さんの言葉が聞きたかったのですけど。例えばグローバル経済化が進むと大国同士の軍事衝突はしなくなる可能性とか、常任理事国が拒否権発動しまくりでイマイチ役に立ってない国連の改革とか、新しく生まれた「テロとの戦争」で核の抑止力が効かない相手に世界はどうやって平和を維持したらいいのかとか、今現在大学の国際関係学部とかでやってるレベルの話をするべきでしょう。それを反戦左翼団体が好みそうな「反戦」「憲法9条」「人権」のキーワードをならべて平和を騙るなんて欺瞞に満ちあふれています。

 
まぁ、NHKの言うように日本人の戦争アレルギーが風のウイルスみたいに世界中に感染してくれたら一番てっとりばやいんだろうけどね。でもそんな口先だけの理想論を公共の電波で撒き散らせば平和になるんなら誰も苦労なんてしないんですよ。こんなの平和への研究でもなければ学問ですらない。ただの反日共産主義者プロパガンダです。NHKにはもう少し現実的に実現可能と思われる平和論を模索して欲しかったです。残念。