戯れにグルメマンガを比較してみた

■「神の雫」は一元論(ユダヤキリスト教的)

この世界の神である神崎豊多香が選んだワインのみが正解。(どんなにうまいワインだろうと豊多香と違うワインを選ぶと神の後継者になれない。)現実のワインの世界において絶対的な真理や答えなどないのだが、この作品の中では常に正しい答えがひとつだけ用意されている。ぶっちゃけ作者の好きなワインにたどり着いたやつが正しいという独善的な価値感のもと世界が構成されている。主要な登場人物は年齢や経験に関係なく全て作者と同じ価値感を有するので、作者の好きなワインを飲むと全員が絶賛する。しかも全員、判で押したように快楽的な絶頂を迎えたようなイキ顔をする。作者の価値感に共感できれば良いが、できない場合はオウム真理教の布教用ビデオを見てるような不快な気分になる。


   ◇作者の根底にある哲学
   作者を信じるものは救われる。
   権威主義・ブランド志向・スノビズム


■「美味しんぼ」は二元論(ゾロアスター教的)

2つのうちどっちが優れているか民主主義(多数決)で対決する。最終的にうんちくが優れている方が勝つ。天然食品などの自然なもの、大地の恵みを感じるものが賞賛される。かと思えば伝統や文化などが勝利の決め手になるような特殊ルールが発動する場合もあるので油断は禁物である。


   ◇作者の根底にある哲学
   農薬ダメ絶対。自然を大切にしよう。
   反権威主義戦後民主主義反戦平和・男女平等・エコロジー


■「もやしもん」は多元論(ヒンズー・仏教的)

酒に味の違いの差はあれどそこに勝ち負けはない。高い酒にも安い酒にもそれぞれの良さがある。自分の好みや経済力、そのときの気分、気候、場所にあったものを飲めば良い。豊かさとは選択の幅である。違いを楽しもう。


  ◇作者の根底にある哲学
   豊かな食文化に感謝。自分と違う考えも認めよう。
   多文化共生・フェティシズムアニミズム